はじめに
こんにちは、現役クラウドエンジニアのwatです!
技術イケメンを目指して日々勉強中です…✍️
「サーバーレスアーキテクチャって何?」
「具体的なサーバーレスアーキテクチャの例を知りたい!」
このような方に向けて本記事では、
「AWSを使った基本的なサーバーレスアーキテクチャの設計」
について「普段サーバーレスアーキテクチャのサービスを開発している私が」初学者でも理解できるようにわかりやすく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、
「REST APIとGraphQL APIの違い」
「サーバーレスアーキテクチャに関するAWSサービス」
などについて理解を深めることができます。
それでは早速サーバレスアーキテクチャの基礎について見ていきましょう!
サーバーレスアーキテクチャとは?
サーバーレスアーキテクチャ(Serverless Architecture)とは、開発者がサーバーの管理や運用を意識せずに、アプリケーションを構築・運用できる仕組みのことです。
「サーバーレス」という言葉を聞くと、「サーバーが全く存在しない」という意味に聞こえるかもしれませんが、実際にはサーバーはちゃんと存在しています。
ただし、開発者がそれを自分で用意・設定・管理する必要がないという点が最大の特徴です。
通常、アプリケーションを動かすためには、サーバーのセットアップ(OSのインストール、セキュリティの設定、リソースの割り当てなど)が必要です。
しかし、サーバーレスではこうした作業はクラウドサービス(ここではAWS)がすべて自動で行ってくれます。
サーバーレスアーキテクチャのメリットとデメリット
サーバーレスアーキテクチャのメリットとデメリットを以下にまとめて見ました。
メリット | デメリット |
---|---|
インフラ構築・保守が不要 | カスタマイズ性に制限がある |
コスト削減(使った分だけ支払う) | ベンダーロックイン(AWS依存)に注意 |
自動スケーリング | 複雑な設計になるとデバッグが難しくなる |
開発スピードが早くなる | 実行時間制限やCold Startの影響がある |
サーバーレスアーキテクチャで使用される主なAWSサービス
AWSにおける代表的なサーバーレスサービスは以下の通りです。

サーバーレスアーキテクチャのユースケース
サーバーレスアーキテクチャは以下のようなユースケースで特に力を発揮します。
・Webアプリケーションのバックエンド(ユーザー認証、データ処理など)
・イベントドリブンな処理(画像アップロード時の自動変換など)
・IoTやモバイルアプリのAPI提供
・バッチ処理、定期実行ジョブ
どのようなシーンでサーバーレスを使ってみたいと思いましたか?
「自分のプロジェクトで使えるかも」と思えるヒントが、すでに見つかっているかもしれません。
次章では、API Gatewayを使ったサーバーレスアーキテクチャについて、より具体的に解説していきます。
API Gatewayを使ったサーバーレスアーキテクチャ
サーバーレスアーキテクチャでは、ユーザーからのリクエストを処理するためにAPI(Application Programming Interface)を提供することが一般的です。
AWSにおいてこの役割を担うのが、Amazon API Gatewayです。
この章では、まずREST APIの基本を理解し、その上でAPI Gatewayの仕組みや実際の活用法を見ていきましょう。
REST APIとは?
REST(Representational State Transfer)は、Webアプリケーションなどで広く使われているAPI設計のスタイルです。
RESTを使うと、リソース(データや機能)をURLで表現し、HTTPメソッドを使って操作することができます。
たとえば、「ユーザー情報」を扱うAPIであれば、以下のような形になります。
HTTPメソッド | エンドポイント | 意味 |
---|---|---|
GET | /users | ユーザー一覧の取得 |
GET | /users/123 | 特定ユーザーの取得(ID:123) |
POST | /users | 新しいユーザーの作成 |
PUT | /users/123 | ユーザー情報の更新(ID:123) |
DELETE | /users/123 | ユーザーの削除(ID:123) |
このように、URI(URLのようなもの)とHTTPメソッドを組み合わせて、操作対象とその内容を明確にするのがRESTの基本的な考え方です。
REST APIには、以下のような利点があります。
・シンプルで直感的:
URLとHTTPメソッドの組み合わせで、何をしたいのかが分かりやすい
・クライアントとサーバーの分離:
フロントエンドとバックエンドを独立して開発できる
・標準技術で構成される:
HTTPベースの通信なので、多くの言語やツールで対応可能
日頃使っているアプリで「データを取得する・登録する」といった操作を意識したことはありますか?
それらの多くは、こうしたREST APIを通じて裏側で行われています。
次は、それをAWS上でどう実現するのか、API Gatewayの基本について見ていきましょう。
API Gatewayの基本
Amazon API Gatewayは、AWSが提供するフルマネージド型のAPI作成サービスです。
REST APIやWebSocket APIを、コードを書かずに簡単に作成・公開できるのが大きな特徴です。
API Gatewayは、以下のような役割を果たします。
・HTTPリクエストの受け取り(エンドユーザー → API Gateway)
・リクエストのルーティング(どのLambdaやバックエンドに処理を渡すか)
・認証・認可の実施(例:Cognitoと連携してユーザー認証)
・レスポンスの加工や整形
・リクエスト数や帯域の制御(スロットリングやレート制限)
このように、API Gatewayは単なるゲートウェイ以上のアプリケーションの玄関口(APIのフロント)として機能します。
サーバーレスアーキテクチャでよく使われるのが、
Amazon API Gateway + AWS Lambda+Amazon DynamoDBのパターンです。

この構成により、アプリケーションのバックエンド処理からデータベース操作までをすべてサーバーレスで構築できます。
いかがでしょうか?このような構成を使えば、ユーザー管理、データ収集、IoT連携など多くのユースケースに柔軟に対応できます。
「APIを作る」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、API Gateway+Lambda+DynamoDBの組み合わせなら、最小限のコードと設定で高機能なAPIが実現できます。
次章では、GraphQLベースのAPI構築を可能にする AWS AppSync を使ったサーバーレスアーキテクチャについて見ていきましょう。
AppSyncを使ったサーバーレスアーキテクチャ
前章で紹介したAPI Gateway(REST API)は、非常に広く使われており、今でも多くのシステムの基盤となっています。
しかし、実際の開発現場では、API Gatewayだけでは対応しにくい場面も出てきます。
例えば…
「複数のデータを一度に取得したいのに、複数のエンドポイントを呼び出さないといけない…」
「ある画面に必要な情報だけを取り出したいのに、不要なデータまで毎回送られてくる…」
「APIの変更にフロントエンドがいちいち追従するのが大変…」
こうした問題を解決するために注目されているのが、GraphQLというAPIの新しい形です。
GraphQLとは?
GraphQL(グラフキューエル)とは、Facebookが開発したAPIのクエリ言語で、必要なデータだけをリクエストして取得できる仕組みが最大の特徴です。
REST APIとは異なり、複数のリソースを一つのエンドポイントでまとめて扱える柔軟性があります。
GraphQLでは、クライアント側が「何の情報が欲しいか」を宣言的に指定します。
これにより、過剰なデータ取得や過不足のあるレスポンスを防ぐことができます。
REST APIとの違い

いかがでしょうか?
REST APIと比較して、「欲しいものを、欲しい形で取り出せる」GraphQLは、データの取得効率を大きく向上させる技術です。
次は、AWSでGraphQL APIを実現できるAppSyncの基本について見ていきましょう。
AppSyncの基本
AWS AppSyncは、AWSが提供するマネージド型のGraphQL APIサービスです。
先ほど紹介したGraphQLの仕様をベースにしており、開発者はスキーマ定義とデータソースの接続設定を行うだけで、柔軟かつ効率的なAPIをすぐに構築できます。
AppSyncの最大の魅力は、GraphQL APIを手軽に作れるうえに、複数のデータソースを一つのAPIで統合できる点です。
これにより、例えば次のような構成が可能になります。
・DynamoDBからのデータ取得
・Lambdaを使ったビジネスロジックの実行
・RDS(リレーショナルDB)へのアクセス
・HTTPエンドポイントとの連携
AppSyncの構成要素
AppSyncを理解するために、主要な構成要素を押さえておきましょう。
・スキーマ(schema)
APIの「形」を定義
どんなクエリがあって、どんなデータ型が返されるかを記述する
・クエリ(query) / ミューテーション(mutation)
クエリはデータ取得、ミューテーションはデータの作成・更新・削除を行う
・リゾルバ(resolver)
クエリを実際のデータソース(DynamoDBやLambdaなど)と結びつける部分
・データソース(data source)
AppSyncがアクセスする外部リソース
DynamoDB、Lambda、RDS、HTTPなど
AppSyncもAPI Gatewayと同様に、
AWS AppSync + AWS Lambda+Amazon DynamoDBのパターンで使用されることが多いです。

「柔軟に必要なデータだけ取得できる」
「複数のサービスを一つのAPIで統合できる」
AppSyncは、特にフロントエンド主導の開発やモバイルアプリに強力な選択肢となります。
GraphQLに少しでも可能性を感じた方は、AppSyncを試してみることで、そのパワフルさをすぐに実感できるはずです。
オススメ関連記事
今回は、API GatewayとAppSyncを中心に解説してきました。
LambdaやDynamoDBというAWSサービスも出てきましたが、
「いまいち分からない…」という方は以下の記事を参考にして見てください!
オススメ技術本
「サーバレスアーキテクチャを使ったAPIの開発を実際にやって見たい!」という方に向けて、開発の手助けになるオススメ技術本を3つ紹介します。
どれも実践に役立つ良書ばかりです!
Web API: The Good Parts
本書は、REST APIを中心としたWeb APIの設計・実装における「良い部分(Good Parts)」に焦点を当て、APIを設計する際に抑えておくべき設計思想やベストプラクティスを網羅的に解説しています。
URL設計、HTTPメソッドの使い方、セキュリティ、ステートレス設計など、現場で即活用できる知識が満載です。
オススメポイント
・サーバーレス×REST API構築に直結する内容
・実践ベースの解説が多く、抽象的で終わらない
・仕様の良し悪しを判断する「目」を養える
API設計の経験が浅く、何が「良い設計」なのか基準を知りたい人や、サーバーレスでREST APIを実装する前に、設計面から理解したい人にはオススメの1冊です!
Web API設計実践入門API仕様ファーストによるテスト駆動開発 Web+DB PRESS plusシリーズ
「API仕様ファースト」という考え方を軸に、OpenAPI(Swagger)を活用しながら、設計 → 実装 → テストという一連の流れを実践的に解説しています。
CI/CDやモックサーバーなど、現代的な開発フローにも対応しており、プロジェクト現場で役立つ知識が詰まっています。
オススメポイント
・OpenAPIベースの開発を実践的に学べる
・API仕様書と実装のブレを防ぐ考え方が身につく
・テスト駆動開発との連携にも触れていて、品質重視の人に最適
チームでAPI開発を行っている、あるいは行う予定の人や、IaCやCICDと合わせたサーバーレスAPI運用を視野に入れている人にオススメの1冊です!
APIデザイン・パターン (Compass Booksシリーズ)
Googleのエンジニアによる、API設計のパターン集です。
RESTだけでなく、RPCやgRPCなど幅広い技術をカバーしており、スケーラブルで一貫性のあるAPI設計を実現するための原則や実装例が丁寧に解説されています。
オススメポイント
・大規模・複雑なAPI設計にも対応できる知識が得られる
・サーバーレス以外のアーキテクチャとの比較にも役立つ
・デザインパターンごとの利点・注意点が明確
より高度なAPI設計力を身につけたい中〜上級者や、複数のサービス間連携やマイクロサービス設計に関心のある人にオススメの1冊です!
API設計は、「ただ動けばいい」では済まない重要な設計要素です。
特にサーバーレスアーキテクチャのようにスケーラブルで疎結合な構成では、APIの設計思想がシステム全体の品質と保守性を左右します。
今回ご紹介した3冊は、それぞれ切り口は異なりますが、いずれも実務で役立つ視点や知識を提供してくれる良書です。
ぜひ、ご自身の学習スタイルや業務環境に合わせて、1冊手に取ってみてはいかがでしょうか?
さいごに
本記事では、AWSを使った基本的なサーバーレスアーキテクチャの設計について、順を追って解説してきました。
サーバーレスという言葉を初めて聞いた方から、実際に構成を考えたい方まで、幅広く役立てていただける内容になったのではないかと思います。
まとめ
・サーバーレスとは「インフラを意識せず開発に集中できる」新しいスタイル
・REST APIはAPI GatewayとLambdaを組み合わせて構築できる
・AppSyncで、複数のデータソースを統合した高度なGraphQL APIを簡単に構築できる
・DynamoDBとの連携により、完全にサーバーレスなデータ操作が可能になる
このようなサーバーレスアーキテクチャは、小規模な個人プロジェクトから、大規模な商用システムまで幅広く活用されています。
最初は学ぶことが多く感じるかもしれませんが、一度構築の流れを理解すると、従来の手動インフラ管理とは比べ物にならないスピードと柔軟性を手に入れることができます。
次の一歩として、ぜひ以下のようなステップをおすすめします!
・AWSの無料枠を使って、API Gateway + Lambda + DynamoDBでAPIを構築してみる
・AppSyncのチュートリアルを実施し、GraphQLの動き方を体感する
・本格的な運用を見据えて、IaC(Infrastructure as Code)やCICDの導入も検討してみる
「インフラを意識せず、アイデアに集中する」、それがサーバーレス開発の最大の魅力です。
ぜひ、次の開発でサーバーレスの力を試してみてください。
また、このサイトではAWSサービスやAWS認定試験の対策になるような記事を紹介しています!
気になる方は他の記事も一緒に読んでみてはいかがでしょうか?
ご精読ありがとうございました!
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